大原守民の漢方通信

漢方の考え方を紹介するブログです

乳腺症

  • 乳腺は月経と連動している

女性の乳腺は生理周期と連動していて、卵巣から出るエストロゲンというホルモンの作用で、乳腺の増殖と委縮が繰り返されています。
その間に、乳腺内に増殖している部分と、委縮や線維化している部分が混在するようになり、大小さまざまな硬結が生ずるようになったものが乳腺症ということになります。

 

  • 原因は卵巣機能にあり

根本的な原因は乳腺の問題ではなく、卵巣機能不全によるエストロゲン分泌の規則性が失われることで生じていると考えられます。
症状としては、乳房の張りや痛み、可動性のしこり、乳頭からの分泌物、月経に連動して症状が変化するなどの違和感があります。

 

  • 西洋医学ではホルモンをブロックする

西洋医学では、乳腺症の診断を乳癌の診断手順で行い両者の区別をします。
治療は痛みが強い場合には、ホルモンをブロックする薬剤を用います。

 

  • 東洋医学では自律神経とホルモンバランスを整える

東洋医学で、肝《かん》は性ホルモンの調整役と言われていて、性ホルモンのバランスが崩れている状態を肝鬱気滞《かんうつきたい》と捉えています。
漢方療法では気の巡りをよくして、ストレスによる自律神経の乱れを整え、血の巡りをよくすることで卵巣のホルモンバランスが整ってくるとものと考えています。

 

  • 漢方は気・血・水の巡りを改善

代表的な処方として、肝気の巡りをよくしてイライラやストレスが蓄積した状態を和らげる『加味逍遥散《かみしょうようさん》』や『航気散《こうきさん》』、血を補い血の巡りをよくする『四物湯《しもつとう》』、瘀血《おけつ》を改善する『桂枝茯苓丸《けいしぶくりょうがん》』、水の滞りと自律神経の安定をはかる『半夏厚朴湯《はんげこうぼくとう》』などを上手に用います。

 

  • 実症例

42歳、2児の母。乳腺症による痛みが時々強くなり子供のことでストレスがあり、常に気持ちが不安定になっています。
瘀血を取り除きホルモンバランスを整える『桂枝茯苓丸』と『航気散』を併用したところ徐々に痛みが緩やかになっていきました。

 

乳腺症は主に30代~40代の女性に多く、閉経後の女性ではあまり起きないことや、痛みや張りなどの違和感を伴うことが特徴です。
これに対して乳がんは、ほとんど自覚症状がなく発見が遅れることが多いので普段のセルフチェックが大切になります。
なお「セルフチェックの方法(図説)」等はインターネットで調べられますので、ぜひお試しになってみてください。

 

乳腺症の痛みを和らげる食事として知られているのは、脂肪の量を減らすこと、ヨードを多く含む海藻をとること、カフェインの量を減らすことなどですが、合わせてストレスなどを減らして、夜更かしを減らすなどの生活をされると効果的だと思います。