大原守民の漢方通信

漢方の考え方を紹介するブログです

花粉症の漢方療法 その④

花粉症の漢方療法 その④

今や現代病と言われる花粉症はヒト特有のものと思われてきました。

しかし近年ではペットや、野生動物のサルにも花粉症と思われる事例が数多く報告されるようになってきています。

本来、野生動物は生まれつき花粉が飛び回る森の中に住んでいますので花粉でアレルギー症状を起こすことは考えられません。

例外として、人里に降りてきたサルや人間に飼われている動物は花粉症になる例が増えてきています。

サルはヒトに近い類人猿ですので人間と同じ生活環境になれば当然、花粉症になるサルが現れて人間と同じ病気にかかりやすくなることは想像がつきます。

サルは本来雑食で木の実、芽、葉、茎、根や、きのこ、ワラビ、タケノコなどの山菜、渋柿、昆虫、小動物、場合によるとサル同士の共食いなどの食生活をしています。

また、野生動物は決して肥満体になることはありません。

なぜなら野生動物にとって肥満になって俊敏性が失われると天敵から襲われた時に逃げ遅れてしまいますので、肥満イコール死に直結するからです。

通常、野生動物は天敵に襲われたり何日も食べ物にありつけなかったり栄養のないようなものを食べたりと、生きていくのに過酷な環境で生活しています。

サルは、人間が品種改良した炭水化物の豊富な作物を腹一杯食べることができるようになると、森に住むより人里に降りてきた方が簡単に美味しい餌にありつけることを学習してしまうので森に戻らなくなってしまいます。

世界的に、動物園ではサルにバナナを与えない方針をとっているのは、人間向けに品種改良したフルーツはサルにとって糖分が多すぎて健康被害がでることが明らかになってきたからです。

サルの花粉症対策は、餌の改善が唯一の方法ですが人間も薬に頼るだけでなく糖質過多を減らす工夫をしなければなりません。

動物はストレスを受けると、それに対抗して副腎からアドレナリンやステロイドホルモンなどが出て様々なストレス反応を現します。

糖質は、摂食性のストレス反応を日常的に起こしていますが、誰もがそのことに気がついていない点に危険性をはらんでいます。

他にも、摂食性のストレス反応を起こしているものに化学薬品、ニコチン、カフェイン、アルコールなどがありますが花粉症のクスリ自体もストレス反応を起こすものになり得ます。

サルの花粉症のことからも『花粉症の根本的原因は花粉そのものによるアレルギー反応ではなく、摂食性のストレス反応によるものである』と、近い将来言われる日が来るものと考えています。