大原守民の漢方通信

漢方の考え方を紹介するブログです

花粉症の漢方療法 その③

花粉症の漢方療法 その③

西洋医学ではスギ花粉症の発生するメカニズムを次の様に説明してきました。

「スギ花粉に対してのIgE抗体の閾値《いきち》というキャパシティに個人差があり、その閾値を超えると症状が出る」。

いわゆる「バケツ(もしくはコップ)理論」というもので、生まれ持ったバケツの大きさを超える花粉が入ってくるとバケツからあふれて発症すると言うものです。

これに対して「舌下免疫療法」は、スギ花粉を含む薬を舌の下に、毎日少量を3~5年間にわたり継続して服用する治療法で、バケツ理論に反するような治療法になります。

また、子供の時にアレルギー原因物質の少ないきれいな環境で育つとアレルギー疾患になりやすく、積極的に牛、馬、ペットなどの動物と接触させた方が花粉症などにかからないという逆の理論もあります。

スギ花粉に対するIgE抗体が陽性でもスギ花粉症でない人がいる一方で、スギ花粉のIgE抗体が少ない人でもスギ花粉症の人がいるのは、バケツ理論やアレルギー理論では説明が付きません。

私は、スギ花粉は一つの引き金にしか過ぎず根本的な原因は交感神経の亢進により、粘膜上の炎症が起きているものと考えた方が妥当であると思っています。

その交感神経の亢進を日常的に起こしている最大の原因は糖質であると考えています。

人類が誕生した当初は他の弱小動物と同様に、大型肉食獣に襲われて喰われる側にいたと考えられています。

野生動物は常に「喰うか喰われるか」の世界にあり身の危険を感じたときには交感神経が異常に亢進して「アドレナリン」を放出して身を守るような働きをします。

その時に必要なエネルギー源は肝臓や筋肉に蓄えられている「グリコーゲン」を「ブドウ糖」に変えて血液中に放出して血糖値を上昇させることでまかなっています。

野生動物は緊急時以外に血糖値が上昇することはなく、血糖値を下げるインスリンは基礎分泌量以上出ることはありえませんでした。

そんな野生動物が糖質の多い農作物や果物などを食べると血糖値の急上昇が起きて身体は襲われた時と同じように交感神経の亢進が起きてしまいます。

この事は、野生動物だけに言えることではなく人間でも同様のことが起きていて、それが「摂食性ストレス反応」と言うものになります。

人類の農耕技術や精製技術の進歩発展には目を見張るものがありますが、その反面、摂りすぎると身体にとって有害になるものも生まれてしまいました。

その代表格が糖質を多く含む食品で、それらは交感神経を亢進させて血糖値を急上昇させることで体に強いストレス反応を起こさせている最大の原因物質になっていると思われます。