2020-06-24 花粉症の漢方療法 花粉症の漢方療法 その① 花粉症は季節性アレルギー性鼻炎に分類され、花粉が原因となって起こる場合の通称を花粉症と呼んでいます。花粉症を起こす植物は50種類以上あると言われていて主なものとして、1~4月はスギ、3~5月はヒノキ、マツ、4~10月はカモガヤなどのイネ科、8~10月はブタクサ、ヨモギと言ったように、ほぼ一年中何かしらの花粉が飛散しています。 また、黄砂やPM2.5、さらには家に住むダニやほこりなどのハウスダスト、猫や犬などのペットの毛やフケなどによるものは、通年性アレルギー性鼻炎と言われ、花粉症と併発している人も多くおられます。 西洋医学では、季節性や通年性のアレルギー性鼻炎に対して、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤の内服薬を中心に、血管収縮剤やステロイド剤の点鼻薬、点眼薬を用いた対症療法が行われています。その他の方法として、鼻のレーザー治療やアレルギー免疫療法などがあります。 東洋医学では、花粉症を水毒《すいどく》という病態で捉えていて、そこに花粉という外的刺激が加わったことで、水に絡んだ症状が生じているものと考えます。水毒とは、水分が体内にたまってしまい、痰飲《たんいん》、水湿《すいしつ》、水腫《すいしゅ》などの体にとって好ましくない病症が起こることをいいます。水毒は、気候の変動や精神的なストレス、食生活などによって水分代謝が影響を受けることが原因とされています。 水毒の主な症状として、むくみ、トイレに行く回数が少ない、疲れる、だるい、頭痛、めまい、神経過敏、筋肉の痙攣、夏でも体が冷えるなどの特徴があります。そのような水毒の者に、花粉の刺激が加わると、くしゃみ・透明な鼻水・鼻づまり・咽頭痛・目の痒み・口渇・顔面ほてり感・易感冒症・胃腸不調などの自覚症状が噴出してきます。 漢方では、水毒は五臓の機能失調により、体内の体液の流れが停滞して生じますので、アレルギーや気候の変化といった外界の要因よりは、体内で発生した内湿《ないしつ》というものが主な原因と思われます。 この内湿を作る最大の要因は、炭水化物や糖質の過剰摂取による摂食性ストレス反応によるもので、甘いものを摂り過ぎれば花粉症は治らないと考えています。ストレス反応が内臓の機能低下を起こしますので、水毒を解消する漢方薬と内臓の働きをよくする処方を併用し、同時に糖質制限に取り組むことが花粉症の真の体質改善になると思われます。 花粉症は単純に鼻アレルギーとは捉えないで、臓器疾病の発症サインと捉えて、食生活の改善に努めることが、生活習慣病の予防にもつながると考えています。