大原守民の漢方通信

漢方の考え方を紹介するブログです

【特別編】新型コロナウイルス肺炎の漢方療法

【特別編】新型コロナウイルス肺炎の漢方療法

変異したコロナウイルスによる新型肺炎が広まっています。
そして、何よりも驚異なのが新型肺炎になることや、その時の薬がないことです。
西洋医学のウイルスに対する考え方で、熱が上がれば解熱剤で下げて、熱が下がれば改善したととらえていますが、東洋医学の考えでは、発熱は病気と闘っている生体の反応と捉え、熱を無理に下げることはしません。

 

  • ウイルスは熱に弱い

これは、ウイルスの初期から熱を下げると、体がウイルスと戦うのを止めてしまって、逆に病気を悪化させてしまう危険があるという考えによるもので、実際にウイルスは38℃以上で活性が停止するとされています。
ヒトの持つDNAは長い歴史の中で、ウイルスが熱に弱いことを遺伝子情報として獲得しています。
ですから、ウイルスが侵入すると熱を出して撃退する仕組みになっています。

 

  • ウイルスと共存をはかる

人間もその他の生物もウイルスと共存しながら、薬などを使わずに現代まで子孫を残してきたわけです。
新型コロナウイルスもインフルエンザウイルスも解熱剤を使えば使うほど肺炎を引き起こすことが考えられます。

 

  • 攻撃すると深いところ(肺)に逃げ込む

新型コロナウイルス感染症は下手をすれば、命をも奪いかねない急性の疾患ですので、深部体温を上昇させて免疫機能を亢進させることが大切になります。
解熱剤を全身に作用させて一時的に熱を下げても、ウイルスは死んでいないので再び増殖することが考えられます。

 

  • 熱は自然と下がる

解熱剤を使わなければウイルスが破壊され、それ以上体温を上げる必要が無くなり、自然と汗腺を開き、汗を出して体温を下げていきます。
しかし、お年寄りや体力のない人は、熱を出せないことがありますが、そのような場合には、発熱を促す漢方薬を用います。

 

  • 免疫力の低下を防ぐ

体内のウイルスを退治する役割は、自身の免疫システムに委ねられていますので、免疫力を低下させる生活習慣は慎む必要があります。
例えば、睡眠不足、栄養不足、過食、過労、ストレス、化学薬品、喫煙などになります。

 

  • 無理して食べるのも体に負担をかける

熱のある時には食欲が低下しますが、無理に食べて胃腸に負担をかけてはいけません。
そんな時でも水分とミネラル補給は最低限必要ですが、少しでも食べられる状態になったら、消化吸収に負担のかからないように工夫した食事にする必要があります。
例えば、味噌汁、おかゆ、梅干し、煮込みうどんなどは体も温まりバランスもよく、栄養やミネラルも取れるので最適です。

 

  • 漢方薬は体を回復させる手助けをする

漢方薬は数千年もの期間、人体実験を繰り返してできあがった画期的な医療で、決して生体の仕組みに逆らうことなく、身体の回復を手助けするようにつくられています。
しかし、漢方療法の運用は難しく、ウイルス感染症に対しては、体質と症状のステージにより適切な漢方薬を用います。