大原守民の漢方通信

漢方の考え方を紹介するブログです

ヒポクラテスと東洋医学の考えは同じ

 

  • 化学薬品は救急薬:

西洋医学と化学薬品は戦場医学として発達した側面があり、基本的には緊急時の医療ですので、応急処置が必要な場面で最も効果を発揮する医療になります。
これらの化学薬品は作用が強く緊急時に絶大な効果を発揮するのも事実です。
しかし、化学薬品は解毒や排泄などにからだに余計な負担をかけてしまいますので、緊急時の短期間の使用に抑えることが本来の役割と考えています。
古代ギリシアヒポクラテスは「医学の父」とよばれ西洋医学に大きな影響を与えた医者で、医術の基本は「からだに自然に備わった治癒力を高めること」であると説いています。

 

  • 薬食同源とは: 

東洋医学の考えも全く同じで、病気はすべて自分の体が治しているのであって、薬が治しているのではないと考えます。
その点漢方薬は、食事の延長線上にあって、からだにエネルギーや栄養を与え、自律神経を整えたり、悪いものを排泄させたり、気・血・水の巡りを良くしたりして、からだの回復を促すために使うのが基本的な考えになります。
ですから、漢方家の役割は身体が最も望んでいることを探り当て、そのための治す力のお手伝いになる漢方処方や養生法などを用いて、身体を本来あるべき状態まで改善することに他なりません。

 

  • 病名漢方とは:

この体の治す力を引き出すためには、その人の体質に合った漢方薬や養生を指導しなければなりませんが、体質を無視した病名で漢方処方を決める「病名漢方」と言われている西洋医学的な考えで、漢方薬を捉えていては体質に合った漢方薬を差し上げることはできません。

 

  • 体質漢方とは:

体質に基づいて処方を決める方法を私は「体質漢方」と命名しています。
「体質漢方」による処方はその人の体調をよくするものですので、「病名漢方」のように、体質に合わなくて副作用が出たり、症状が悪化したりすることがありません。
人間も自然界で生かされているひとつの生命体ですので体も自然界と連動しています。

ですから自然哲学に則った漢方薬を体質に合わせて用いる「体質漢方」が人間には負担のかからない最良の治療法と言うことができるものと考えております。