大原守民の漢方通信

漢方の考え方を紹介するブログです

女性のからだ

  • 女性は弱々しいのが美人?

『立てば芍薬《しゃくやく》座れば牡丹《ぼたん》歩く姿は百合《ゆり》の花』とは美人を形容する言葉ですが、実は病弱な女性の症状を表わしています。

 

  • 病症と生薬を表わす『ことわざ』だった!

それと同時に、そのような女性に用いる漢方薬の使い方を例えたものになります。
『立てば』の意味は女性がイラ立つことを表わしていて、これには芍薬を用いると良いという解釈になります。
『座れば』とは座り込んでしまうほど弱っている女性には牡丹を用います。
『歩く姿』はナヨナヨ歩くという意味で、これには百合を使うというものです。
このような弱々しく、貧血ぎみで、色白の痩せている女性を男性が見たときに、魅力的に見えたことから美人を表わす言葉になったかもしれません。

 

  • おんなは感情動物?

東洋医学では、『女の病《やまい》は七情《しちじょう》によって生ず』と言われています。
七情とは喜、怒、優、思、悲、恐、驚の情緒変化をいいます。
七情のバランスが崩れることで体調のバランスまでが崩れてしまって、様々な病気を引き起こしてしまうのが女性のからだと言うことができます。

 

  • 病院では相手にしてくれない自覚症状

漢方薬は「気の医学」とも言われるように、女性特有の不定愁訴《ふていしゅうそ》を改善することに長けています。
例えば、病院ではあまり相手にしてくれない病状として、疲れ、冷え、のぼせ、多汗、イライラ感、気分の落ち込み、無気力、集中力の低下などは漢方の最も得意とする気《き》の分野であります。
これを「気の道症《きのみちしょう》」と言うこともあります。

 

  • 女性のからだは月経周期と連動している

また女性のからだには、女性特有の状況と時期があります。
特に生理は毎月規則正しく、月経と排卵が、閉経するまで繰り返し続き、その間に発生する様々な病状は主に血《けつ》が関わってきます。
これを「血の道症《ちのみちしょう》」といいます。

 

  • 気血調和が大切

ですから女性の健康にはこの二つ、「気」と「血」が良好に巡ることが欠かせません。
東洋医学が「気の道症」や「血の道症」に、最大限の力を発揮することができるのには、「こころ」と「からだ」が一体であるという考えに基づいた気血調和《きけつちょうわ》の哲学が根底に存在していることに他なりません。

 

  • 7の倍数で変化する

さて、女の体は7の倍数で変化するといわれていて、その節目の歳が特徴的な経年変化を起こすとされています。
『7歳で乳歯が脱落し、14歳で初潮、21歳で成人し、28歳で身体盛壮となり、35歳で衰え始め、42歳で髪が白くなりはじめ、49歳で閉経する』と、漢方の聖典黄帝内経素問《こうていだいけいそもん》』に記載されています。

 

  • からだの変化から『厄』は生まれた

また、同じ古典医学書の『霊枢《れいすう》』の中に年忌《ねんき》の記述があり、大厄《たいやく》には自重して、身の安泰をはからなくてはならないと訓《おしえ》ています。
厄年《やくどし》は、人の一生をみたときに、体の変化に注意するための訓ですので未病《みびょう》の予防に役立てていただければよろしいと思います。