大原守民の漢方通信

漢方の考え方を紹介するブログです

心の病気

 

  • 生活が豊かになると「心の病気」が増える?

現代社会は、様々なストレスに囲まれている社会で、「心の病気」で悩む人が増えています。
心の病気は、精神や身体の働きが、不安定になり、日常生活に支障をきたしてしまう病気で、本人がコントロールできない全身疾患ととらえることもできます。

 

  • 「心の病気」は「精神」と「身体」の両面の病気

心の病気の症状は、人それぞれ様々で精神的不調は身体的不調に影響を及ぼし、身体的不調は精神的不調に影響を及ぼすといった連動した関係にあります。
これらの不調が、脳の働きに影響をあたえ心身のバランスが崩れて精神的な病気に発展してしまうことがあります。

 

決定的な原因がはっきりしないものがほとんどで神経伝達物質の過不足、遺伝的な変異、偏桃体の過度の活性化、サイトカインという蛋白質の過剰生産や酸化ストレスによるフリーラジカルの増加などが何らかの影響を及ぼしていることは知られています。
特に神経伝達物質ノルアドレナリンは「意欲」、ドーパミンは「興奮」、セロトニンは「抑制」の働きがあると言われています。

 

  • 「心の病気」は本当に「脳・神経の病気」なのか?

西洋医学では「心の病気」は「脳・神経の病気」と考えていて、脳・神経の働きのバランスが崩れた状態と捉えています。
治療は、主に薬を用いる場合と薬を使わない方法があります。
薬を用いる治療では、先に挙げた神経伝達物質に対して働きかけて脳の働きを正常に戻します。
薬を用いない治療には、カウンセリングによる心理療法や、認知に働きかけて心のストレスを軽くしていく認知行動療法などがあります。

 

  • 些細な感情の変化が病気を引き起こす

東洋医学では、七情という「喜・怒・憂・思・悲・恐・驚」という、7つの感情が強すぎたり、長期間続いたりすると様々な病気を引き起こすと考えます。

 

  • 1.「喜び」

「喜び」があまりにも過ぎると、心や脳に変調が起こり、心気が緩み、集中ができなくなります。

 

  • 2.「怒り」

「怒り」により、気が逆上すると血圧が上がり、ひどいと意識を失います。

 

  • 3,4.「憂い・悲しむ」

「憂い・悲しむ」ことにより、呼吸の働きに影響が現れ、肺気が弱まり、意気消沈します。

 

  • 5.「思う」

「思う」は、考え込み過ぎると、脾胃という消化器系の働きが弱まり、やる気が出ない、食欲不振、消化不良などを起こします。

 

  • 6.「恐れ」

「恐れ」は、恐怖により腎の働きに影響を与え、大小便の失禁が起きます。

 

  • 7.「驚き」

「驚き」は、過ぎると腎の働きに影響を与え、心神のよりどころがなくなり、どうしてよいかわからない混乱状態になります。

 

  • 心の元気が一番大切!

心の元気は、身体の元気の源ですので、心身の不調を感じたら、放置しないで早めに取り戻す対応が必要になります。