花粉症の漢方療法
花粉症の漢方療法 その①
花粉症は季節性アレルギー性鼻炎に分類され、花粉が原因となって起こる場合の通称を花粉症と呼んでいます。
花粉症を起こす植物は50種類以上あると言われていて主なものとして、1~4月はスギ、3~5月はヒノキ、マツ、4~10月はカモガヤなどのイネ科、8~10月はブタクサ、ヨモギと言ったように、ほぼ一年中何かしらの花粉が飛散しています。
また、黄砂やPM2.5、さらには家に住むダニやほこりなどのハウスダスト、猫や犬などのペットの毛やフケなどによるものは、通年性アレルギー性鼻炎と言われ、花粉症と併発している人も多くおられます。
西洋医学では、季節性や通年性のアレルギー性鼻炎に対して、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤の内服薬を中心に、血管収縮剤やステロイド剤の点鼻薬、点眼薬を用いた対症療法が行われています。
その他の方法として、鼻のレーザー治療やアレルギー免疫療法などがあります。
東洋医学では、花粉症を水毒《すいどく》という病態で捉えていて、そこに花粉という外的刺激が加わったことで、水に絡んだ症状が生じているものと考えます。
水毒とは、水分が体内にたまってしまい、痰飲《たんいん》、水湿《すいしつ》、水腫《すいしゅ》などの体にとって好ましくない病症が起こることをいいます。
水毒は、気候の変動や精神的なストレス、食生活などによって水分代謝が影響を受けることが原因とされています。
水毒の主な症状として、むくみ、トイレに行く回数が少ない、疲れる、だるい、頭痛、めまい、神経過敏、筋肉の痙攣、夏でも体が冷えるなどの特徴があります。
そのような水毒の者に、花粉の刺激が加わると、くしゃみ・透明な鼻水・鼻づまり・咽頭痛・目の痒み・口渇・顔面ほてり感・易感冒症・胃腸不調などの自覚症状が噴出してきます。
漢方では、水毒は五臓の機能失調により、体内の体液の流れが停滞して生じますので、アレルギーや気候の変化といった外界の要因よりは、体内で発生した内湿《ないしつ》というものが主な原因と思われます。
この内湿を作る最大の要因は、炭水化物や糖質の過剰摂取による摂食性ストレス反応によるもので、甘いものを摂り過ぎれば花粉症は治らないと考えています。
ストレス反応が内臓の機能低下を起こしますので、水毒を解消する漢方薬と内臓の働きをよくする処方を併用し、同時に糖質制限に取り組むことが花粉症の真の体質改善になると思われます。
花粉症は単純に鼻アレルギーとは捉えないで、臓器疾病の発症サインと捉えて、食生活の改善に努めることが、生活習慣病の予防にもつながると考えています。
【特別編】新型コロナウイルス肺炎の漢方療法(続続)
【特別編】新型コロナウイルス肺炎の漢方療法(続続)
- ついにパンデミック宣言
WHOが新型コロナウイルス感染症について、パンデミックを宣言しました。
新型コロナウイルスを「SARS-CoV-2」呼び、新型コロナウイルス感染症の病名は「COVID-19」と名付けられました。
- 日本では緊急事態宣言
日本では感染症爆発が阻止できないと考え、史上初めてとなる緊急事態宣言が発動されることになりました。
医療現場では医療崩壊を起こしかねない状況まで追い詰められています。
これまで人に感染するコロナウイルスは7種類が知られていて、その内の4種類は、通常は重症化せずありふれた普通感冒の原因となります。
残りの3種類が、「SARS」、「MERS」、と今回の「SARS-CoV-2」になります。
- 抗体を持っている人がいないということは
- いきなり肺炎になる
また、新型コロナウイルスの怖いところは、
無症状の場合でも、いきなり肺炎になることで、しかも治ったとしても肺の機能が低下してしまうことです。
- 抗体産生場所が問題
インフルエンザでもコロナでも、ウイルスが侵入する最初の部位が上気道粘膜ですが、その粘膜上に抗体があれば、ウイルスにかかることはありません。
しかし、仮に抗体を持っていない場合でも、そのウイルスに対する抗体がすぐに作られれば速やかにウイルスは消失します。
- ワクチン接種では粘膜上に抗体を作ることが出来ない
仮に、不活化ワクチン注射が出来たとしても、血中に抗体を持たせることはできても、粘膜上での抗体を持たせることはできません。
そのため上気道粘膜上のウイルスの増殖を防ぐことはできないので、軽く済んだとしても感染してしまう結果になります。
- 東洋医学が最も優れた医療
東洋医学では、体質が虚弱だと、カゼの主原因の風邪《ふうじゃ》が粘膜から侵入して、発病するとしています。
カゼを治すポイントは、この粘膜上の攻防で決まりますので、いかに速く粘膜上に抗体を作ることができるかにかかっています。
漢方薬は、生体の抗体産生に協力して、一刻も早く回復させるように作用するもので、食事ができないときでも、身体に負担をかけることがない最善の方法といえます。
- ウイルス感染症対策
ウイルス感染症対策として、漢方薬の『柴葛解肌湯《さいかつげきとう》』を中心に、『麻黄湯《まおうとう》』などの活用が有効と思われます。
- 「からだに自然に備わった治癒力を高めること」
古代ギリシアのヒポクラテスは「医学の父」とよばれ西洋医学に大きな影響を与えた医者で、医術の基本は「からだに自然に備わった治癒力を高めること」であると説いています。
東洋医学の考えも全く同じで、病気はすべて自分の体が治しているのであって、薬が治しているのではないと考えます。
【特別編】新型コロナウイルス肺炎の漢方療法(続)
【特別編】新型コロナウイルス肺炎の漢方療法(続)
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普段は特定の動物と共存している
新型コロナウイルスの感染が中国の武漢から世界中に広がっていて、終息の見込みが立っていません。
コロナウイルスは自分で生きていくための細胞を持たないので、常に他の生物と共存して生きています。
共存動物の存在は明らかになっていませんが、なぜかそこから飛び出して人類にとりついてしまいました。
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化学薬品の使用は危険
ウイルスの性質上、コロナウイルスも人類と共存をはかろうとしますが、解熱剤、抗生物質、その他の薬剤で殺そうとすると、上気道から奥へ逃げ延びようとして、肺の方へ住みかを移動することが考えられます。
元々ウイルスは体温が低くなると増殖し、薬剤を使うほど変異を早める性質があります。
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ウイルスは化学薬品を使うほど変異をして耐性ウイルスになる
解熱剤で体温を下げて、抗生物質で変異を促進すると、ウイルスにとって住みやすい環境になってしまいます。
ヒトの体には、元々ウイルスなどから体を守る免疫機構が備わっていますので、それを阻害する行為をしてはいけません。
体内にウイルスが侵入すると免疫機構が働き、白血球などの細胞がウイルスを攻撃してくれます。
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化学薬品は免疫活動がフル回転しているときに足を引っ張る
さらに、脳から体温を上げる指令が出され、ウイルスの増殖を抑えて、白血球の働きを活発にして免疫機能を高めてくれます。
そして、私達の体には体温調節機能が備わっていて、41℃以上に体温が上昇するのを防ぐメカニズムを持っていて、脳が熱で損傷を受けないようになっています。
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脳の障害は脳にウイルスが侵入することで起きる
よく聞かれることですが、「ウイルス感染の高熱により脳に後遺症を残した」は間違いで、「ウイルスの増殖により、ウイルスが脳にまで侵入して後遺症が残った」が正解です。
また熱によりウイルスが脳に入りやすくなることもありません。
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子供や化学薬品を多く飲んでいる高齢者は危険
子供においては、臓器が未発達で、特に腎臓と肝臓のキャパシティが少ないので、化学薬品などが使われると、その解毒などの代謝にエネルギーを奪われてしまいます。
ですから、ウイルスを排除するための免疫機構に使えるエネルギーが不十分になり、さらなるウイルスの増殖を招くことが考えられます。
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熱は体を休ませるサイン
ウイルス感染症で一番いけないのは、仕事が休めないので早い段階から解熱剤を飲んで活動して、ウイルスを増殖させて、拡散させてしまうことです。
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漢方薬は食事が出来ないときでも安全
漢方療法は、内臓のエネルギー消費効率を最適化することで、免疫細胞に最も効率よくエネルギーが供給できるような体内環境に持っていくことができます。
その結果、短期間で安全に治療ができるものと考えております。
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スペイン風邪でも使われた『柴葛解肌湯』が有効
家庭で漢方を利用する場合には、処方の選別ができませんので、ウイルス感染症の初期から後期にまで対応できて、2歳未満から服用できる、『柴葛解肌湯《さいかつげきとう》』を常備薬として準備されておくことをお勧めしております。
【特別編】新型コロナウイルス肺炎の漢方療法
【特別編】新型コロナウイルス肺炎の漢方療法
変異したコロナウイルスによる新型肺炎が広まっています。
そして、何よりも驚異なのが新型肺炎になることや、その時の薬がないことです。
西洋医学のウイルスに対する考え方で、熱が上がれば解熱剤で下げて、熱が下がれば改善したととらえていますが、東洋医学の考えでは、発熱は病気と闘っている生体の反応と捉え、熱を無理に下げることはしません。
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ウイルスは熱に弱い
これは、ウイルスの初期から熱を下げると、体がウイルスと戦うのを止めてしまって、逆に病気を悪化させてしまう危険があるという考えによるもので、実際にウイルスは38℃以上で活性が停止するとされています。
ヒトの持つDNAは長い歴史の中で、ウイルスが熱に弱いことを遺伝子情報として獲得しています。
ですから、ウイルスが侵入すると熱を出して撃退する仕組みになっています。
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ウイルスと共存をはかる
人間もその他の生物もウイルスと共存しながら、薬などを使わずに現代まで子孫を残してきたわけです。
新型コロナウイルスもインフルエンザウイルスも解熱剤を使えば使うほど肺炎を引き起こすことが考えられます。
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攻撃すると深いところ(肺)に逃げ込む
新型コロナウイルス感染症は下手をすれば、命をも奪いかねない急性の疾患ですので、深部体温を上昇させて免疫機能を亢進させることが大切になります。
解熱剤を全身に作用させて一時的に熱を下げても、ウイルスは死んでいないので再び増殖することが考えられます。
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熱は自然と下がる
解熱剤を使わなければウイルスが破壊され、それ以上体温を上げる必要が無くなり、自然と汗腺を開き、汗を出して体温を下げていきます。
しかし、お年寄りや体力のない人は、熱を出せないことがありますが、そのような場合には、発熱を促す漢方薬を用います。
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免疫力の低下を防ぐ
体内のウイルスを退治する役割は、自身の免疫システムに委ねられていますので、免疫力を低下させる生活習慣は慎む必要があります。
例えば、睡眠不足、栄養不足、過食、過労、ストレス、化学薬品、喫煙などになります。
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無理して食べるのも体に負担をかける
熱のある時には食欲が低下しますが、無理に食べて胃腸に負担をかけてはいけません。
そんな時でも水分とミネラル補給は最低限必要ですが、少しでも食べられる状態になったら、消化吸収に負担のかからないように工夫した食事にする必要があります。
例えば、味噌汁、おかゆ、梅干し、煮込みうどんなどは体も温まりバランスもよく、栄養やミネラルも取れるので最適です。
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漢方薬は体を回復させる手助けをする
漢方薬は数千年もの期間、人体実験を繰り返してできあがった画期的な医療で、決して生体の仕組みに逆らうことなく、身体の回復を手助けするようにつくられています。
しかし、漢方療法の運用は難しく、ウイルス感染症に対しては、体質と症状のステージにより適切な漢方薬を用います。
目の病気
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五感と五官《ごかん》
人や動物は、視覚、味覚、触角、嗅覚、聴覚の五つの感覚の五感《ごかん》によって、外界の状態を認識しています。
東洋医学では、五感に対応する器官を五官《ごかん》と言い、目、口(舌)、皮膚(口唇)、鼻、耳、の五つを指します。
五官は、五臓《ごぞう》の外界への窓口(穴《あな》)になっていて、その穴のことを竅《きょう》と呼んでいます。
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五官科《ごかんか》とは
中国ではこの五官を扱う医療機関の標榜は五官科《ごかんか》と言いまして、現代の中国でも看板に五官科の標記をしている医療機関をみることができます。
五官科を今の日本式でいえば眼科、口腔科、皮膚科、耳鼻科を合わせたような診療科になります。
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五臓の状態を計り知る重要な手段とは
漢方の考えに、五行説《ごぎょうせつ》というのがありまして、臨床検査の無い時代に五官から五臓の状態を計り知る重要な手段として発展を遂げ、今でも大いに役立っています。
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目は肝と連動している
五行説で目の対応臓器は肝《かん》になりますので、肝の状態は目に表われるとされています。
これを「肝は目に竅を開く」と表現しています。
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肝と腎の関係
さらに肝を養っているとされる、腎《じん》の影響で目の疲れや眼病が現れるとされています。
また目は水分を最も多く含んだ臓器ですので、体内の水の巡りが悪いと、近視や緑内障などが起きやすくなってきます。
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目は水の臓器
特に近視は目の筋肉系の疲労も重なって発生しますので、筋肉を司る肝と、水を司る腎の両方が影響を及ぼしていると捉えています。
腎の衰えを腎虚《じんきょ》、イコール老化ととらえていますので、老眼や白内障の場合には、腎を補う補腎剤《ほじんざい》を用いますが、その基本的な処方が『六味丸《ろくみがん》』になります。
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杞菊地黄丸は目の聖薬
その中でも目に特化した処方が『杞菊地黄丸《こぎくじおうがん》』で、目によいといわれている生薬の『枸杞子《くこし》』と『菊花《きっか》』の2味を『六味丸』に加えた処方になります。
ただし補腎《ほじん》の漢方薬は、使い方を間違えると効かないだけでなく、副作用が出る場合もありますので、体質や症状に合った処方を選ぶことが大切になります。
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他の目薬とは比べものにならない「新黄珠目薬」
一方、昔から民間療法として、目の充血を起こしている人には『黄柏《おうばく》』の内服と外用で炎症を散らすことをやっていました。
この黄柏の主成分のベルベリンという黄色い成分が白目の充血や炎症を取ってくれて、白目が奇麗になり、疲れ目にも効果的なことがわかってきました。
そして、その黄柏のベルベリンを配合した『新黄珠目薬《しんおうじゅめぐすり》』が開発されて発売されています。
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電子機器によるダメージ
現代社会はパソコンやスマホの時代になり、これらの電子機器に長時間関わっています。
これにより、知らず知らずのうちに、目だけでなく脳や身体がダメージを受けていると考えられますので、漢方薬を上手に活用して対処されたら宜しいかと存じます。
心の病気
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生活が豊かになると「心の病気」が増える?
現代社会は、様々なストレスに囲まれている社会で、「心の病気」で悩む人が増えています。
心の病気は、精神や身体の働きが、不安定になり、日常生活に支障をきたしてしまう病気で、本人がコントロールできない全身疾患ととらえることもできます。
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「心の病気」は「精神」と「身体」の両面の病気
心の病気の症状は、人それぞれ様々で精神的不調は身体的不調に影響を及ぼし、身体的不調は精神的不調に影響を及ぼすといった連動した関係にあります。
これらの不調が、脳の働きに影響をあたえ心身のバランスが崩れて精神的な病気に発展してしまうことがあります。
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「神経伝達物質」の過不足が原因?
決定的な原因がはっきりしないものがほとんどで神経伝達物質の過不足、遺伝的な変異、偏桃体の過度の活性化、サイトカインという蛋白質の過剰生産や酸化ストレスによるフリーラジカルの増加などが何らかの影響を及ぼしていることは知られています。
特に神経伝達物質のノルアドレナリンは「意欲」、ドーパミンは「興奮」、セロトニンは「抑制」の働きがあると言われています。
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「心の病気」は本当に「脳・神経の病気」なのか?
西洋医学では「心の病気」は「脳・神経の病気」と考えていて、脳・神経の働きのバランスが崩れた状態と捉えています。
治療は、主に薬を用いる場合と薬を使わない方法があります。
薬を用いる治療では、先に挙げた神経伝達物質に対して働きかけて脳の働きを正常に戻します。
薬を用いない治療には、カウンセリングによる心理療法や、認知に働きかけて心のストレスを軽くしていく認知行動療法などがあります。
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些細な感情の変化が病気を引き起こす
東洋医学では、七情という「喜・怒・憂・思・悲・恐・驚」という、7つの感情が強すぎたり、長期間続いたりすると様々な病気を引き起こすと考えます。
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1.「喜び」
「喜び」があまりにも過ぎると、心や脳に変調が起こり、心気が緩み、集中ができなくなります。
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2.「怒り」
「怒り」により、気が逆上すると血圧が上がり、ひどいと意識を失います。
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3,4.「憂い・悲しむ」
「憂い・悲しむ」ことにより、呼吸の働きに影響が現れ、肺気が弱まり、意気消沈します。
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5.「思う」
「思う」は、考え込み過ぎると、脾胃という消化器系の働きが弱まり、やる気が出ない、食欲不振、消化不良などを起こします。
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6.「恐れ」
「恐れ」は、恐怖により腎の働きに影響を与え、大小便の失禁が起きます。
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7.「驚き」
「驚き」は、過ぎると腎の働きに影響を与え、心神のよりどころがなくなり、どうしてよいかわからない混乱状態になります。
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心の元気が一番大切!
心の元気は、身体の元気の源ですので、心身の不調を感じたら、放置しないで早めに取り戻す対応が必要になります。
女性のからだ
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女性は弱々しいのが美人?
『立てば芍薬《しゃくやく》座れば牡丹《ぼたん》歩く姿は百合《ゆり》の花』とは美人を形容する言葉ですが、実は病弱な女性の症状を表わしています。
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病症と生薬を表わす『ことわざ』だった!
それと同時に、そのような女性に用いる漢方薬の使い方を例えたものになります。
『立てば』の意味は女性がイラ立つことを表わしていて、これには芍薬を用いると良いという解釈になります。
『座れば』とは座り込んでしまうほど弱っている女性には牡丹を用います。
『歩く姿』はナヨナヨ歩くという意味で、これには百合を使うというものです。
このような弱々しく、貧血ぎみで、色白の痩せている女性を男性が見たときに、魅力的に見えたことから美人を表わす言葉になったかもしれません。
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おんなは感情動物?
東洋医学では、『女の病《やまい》は七情《しちじょう》によって生ず』と言われています。
七情とは喜、怒、優、思、悲、恐、驚の情緒変化をいいます。
七情のバランスが崩れることで体調のバランスまでが崩れてしまって、様々な病気を引き起こしてしまうのが女性のからだと言うことができます。
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病院では相手にしてくれない自覚症状
漢方薬は「気の医学」とも言われるように、女性特有の不定愁訴《ふていしゅうそ》を改善することに長けています。
例えば、病院ではあまり相手にしてくれない病状として、疲れ、冷え、のぼせ、多汗、イライラ感、気分の落ち込み、無気力、集中力の低下などは漢方の最も得意とする気《き》の分野であります。
これを「気の道症《きのみちしょう》」と言うこともあります。
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女性のからだは月経周期と連動している
また女性のからだには、女性特有の状況と時期があります。
特に生理は毎月規則正しく、月経と排卵が、閉経するまで繰り返し続き、その間に発生する様々な病状は主に血《けつ》が関わってきます。
これを「血の道症《ちのみちしょう》」といいます。
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気血調和が大切
ですから女性の健康にはこの二つ、「気」と「血」が良好に巡ることが欠かせません。
東洋医学が「気の道症」や「血の道症」に、最大限の力を発揮することができるのには、「こころ」と「からだ」が一体であるという考えに基づいた気血調和《きけつちょうわ》の哲学が根底に存在していることに他なりません。
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7の倍数で変化する
さて、女の体は7の倍数で変化するといわれていて、その節目の歳が特徴的な経年変化を起こすとされています。
『7歳で乳歯が脱落し、14歳で初潮、21歳で成人し、28歳で身体盛壮となり、35歳で衰え始め、42歳で髪が白くなりはじめ、49歳で閉経する』と、漢方の聖典『黄帝内経素問《こうていだいけいそもん》』に記載されています。
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からだの変化から『厄』は生まれた
また、同じ古典医学書の『霊枢《れいすう》』の中に年忌《ねんき》の記述があり、大厄《たいやく》には自重して、身の安泰をはからなくてはならないと訓《おしえ》ています。
厄年《やくどし》は、人の一生をみたときに、体の変化に注意するための訓ですので未病《みびょう》の予防に役立てていただければよろしいと思います。